小狸の独り言

小狸の独り言 

 

1「入山」                           

禅宗の厳しい修行道場円福寺での研修・・  睡眠時間が短く、坐禅で足が痺れ、何とか言う「棒」で叩かれる!!!  行くべきか否か、悩みました。しかし、初めての人間性探究研究所の研修会。「えいや!」で参加しました。

 

昼から始まる一泊2日の研修でしたが、研修所に到着してびっくり!! 緑の樹木や竹林に包まれた会場。そして、入口には一匹のワンちゃん。それこそ“ワンワン”と禅語で??お出迎え。立派な山門。更に通用門とは言えないような大きい門。入口の建物も木の香りが新しい立派な建物、後で聞きましたが“庫裏(くり)”と言うそうです。最初から驚きのスタートです。

 

到着茶礼。参加者が集まると、これからの研修参加決意を皆で意思確認するかのように、全員でお茶を飲み、研修の注意点や支持が伝達されます。今思えば非常に合理的で、且つ又、お茶を味わうことで参加者の気持ちが統一されたと思います。

 

直ぐに厳しい坐禅が始まるのかと戦々恐々としておりましたが、最初に人間性探究研究所の北山先生の講習と分かり“ほっ!!”としました。

 

しかし、そう思いきや結構難しく、頭が混乱してきました。私が何時も頭の中に思い描くもの。自分が自分に話しかけている言葉。外からの刺激に対しての思いや感情・・・

今の自分自身と思っていたのですが、今集中していることと、頭の中(思考・感情)の動きが異なることが、先生のお話と実習でチョッと分かりました。

 

勉強する時や、趣味をしている時。食事や瞑想(おこがましいですが!)をしている時。

自分では結構一心不乱に集中しているつもりでしたが、頭、と言うか、こころの中は色々なおしゃべりを勝手にしていることに気付きました。

 

北山先生のお話ですと、これをマインドトーク、自動思考と言います。今迄、何の疑問も抱かなかったことですが、自分の中で如何に多くのマインドトークが存在したか、そしてこのマインドトークに動かされてきた自分がいたかが分かりました。

 

自分を見つめ直し、自分の心の中・自分自身を確認する。今迄自分では出来ていると思っていましたが、自分の根底からの確認は、出来ていなかったことが理解できました。

 

                             

2「呼吸」                           

生まれてから一番多く行っている行為(行動)は何か?

食事? 排泄? そうです、呼吸です。

お母さんのお腹から生まれ落ちた瞬間から始まるのは、“ 息 ”である“ 呼吸 ”です。最初の一息で「おんぎゃー」の発声となります。

その後は自然に、無意識に呼吸は続きます。

 

生きている間、呼吸は継続されています。生きるために必要な酸素を得るために、必然的に行われる呼吸。

しかし、必然が故に、この呼吸行為に自己の意識は及んでいません。

 

会社への出勤時、電車に乗り遅れそうになり全速力で走ります。もう歳を食っていますので息は大きく弾みます。

海で貝を採るために潜水した時、つい深く潜ることで息が続かず大急ぎで海上に上がり大きく息をします。しかし、この息を意識するような状態でも、心に去就するのは胸の苦しさや恐怖です。

 

“ 息 ”そのものを意識する。そして、一息、一息、意識を集中し呼吸をしていく。

ここに原点があります。

 

深い呼吸と言うと、普通は「大きく」「深く」息を吸い込むことを言いますが、意識を集中する呼吸は、“ 細く・長く・最後まで ”息を出し切ることが大切であると、指導を受けました。

この深い呼吸をしていると意識が集中できました。

 

しかし、そこへ到達するのに多くの山や川が横たわっていました。

“ 腹式呼吸 ”です。お腹で呼吸をする。簡単な様で中々できない呼吸法です。

ついつい肩が動き、胸が持ち上がり上半身で息をしがちです。その結果、身体が動いてしまし、深い息が出来ません。そして意識も集中から散漫に振れていきます。

 

オペラ歌手は腹式呼吸をします。一瞬にして歌を朗々と歌うために必要な呼吸量を吸い込んでしまうのです。お腹の中にある腹筋が瞬時に下に移動し、肺の空間を最大に広げるのです。

オペラ歌手のようにふくよかに太る必要はありませんが、腹式呼吸は見習いましょう。

 

呼吸法の研修では色々な方法で指導を受け、自然に深い息が出来るようになりました。

 

 

3「緊張とリラックス」                           

現在の社会は“ 緊張 ”の連続です。特に、不況が色濃くなった昨今、会社のどのセクションにいてもストレスは極限に達します。単に会社の業績だけでなく、会社の人間関係も緊張を醸し出す要因となっています。

 

その会社での緊張も、家に戻ると普通は解けるものです。しかし、家庭も緊張を解す安息所でなく、別の緊張を生み出す場所となっています。子供の学校問題や進学問題。場合によっては親子の対立や、夫婦の不和・・・。

 

私個人も、会社在職中は毎日「お酒一杯!!」の状況で、午前様も日常茶飯で家庭不和までは行きませんでしたが、年老いた母には、「早く帰宅するように」と毎日叱られていました!!

 

精神的な緊張の連続は、身体的にも肉体の緊張を生みます。肉体的な緊張は、筋肉が張って、肩こりや筋肉痛を発症させます。更には、内臓の機能不全をも併発させます。精神的な疲れが大きいため、睡眠も浅くなり熟睡ができません。このため、折角の土曜・日曜も身体を動かさず、ごろごろと時間を無駄に費やすだけです。運動等で身体を動かすことで、逆に緊張していた筋肉がリラックスするのに・・

 

勿論、深い呼吸を行うためにも、この緊張から解放されなくてはなりません。全身のリラックス状態が、深く・大きい呼吸を生み出します。人間性探究研究所の今回のリラクゼーション法は、身体の部分部分(手・足等)の弛緩(しかん=)だけでなく、全身全てにリラックスを与えてくれました。

 

そのリラックスに至る過程で、“ 幸せ ”を感じました。“ 緊張の後のリラックス ”。

緊張がそこに存在するが為にリラックスを得ることが出来る。人間性探究研究所の目的とは異なるかも知れませんが「意識した緊張 」は、それから解放されるとき「 深い感情と意思を研ぎ澄まし 」、リラックスする経過を「 繊細に且つ連続的に観察 」出来きるようになります。

 

今迄、感じたことも思ってもいなかった身体の変化。これに気付いたのが今回のリラクゼーション法です。単にリラックスするだけでなく、それに気付く自分を創っていくのが本当の目的でしょう。

 

                

#4「夕食」                

さあー!!  楽しい夕ご飯だ・・・・

 

だけど!!  修行道場のご飯は、“ 粗食!! ”。 

 

ヒエ~!!  勉強会のエネルギーが補充できるのか??

 

金持ちでは有りませんが、一応毎晩“ ご馳走?? ”を食べていました。

ご披露すると??  

1.焼き鮭   2.ハンバーグ  3.カレー  4.豚カツ  

5.鯖煮付け  6.鯖寿司    7.レンコンのはさみ揚げ

おうーー  この1週間、何と多くのご馳走を食べていたのでしょう!!

 

しまった・・ えらいこっちゃ!!  円福寺の夕飯のメニューを忘れました!!

感想文を書こうと思いましたが、いつものアルツハイマーが出ました。しかし、感覚で思い出して、間違いが少し有るかもしれませんが書いてみます。

 

思ったよりご馳走でした。硬いご飯(麦が入っていたかな~)。野菜の煮付け。お漬物。

更に、嬉しかったのはお代わりが出来たことです。それも、ご飯は3回位。野菜の煮付けのおかずもありました。ところが、私よりもお代わりの多かった方もおられました。兵(つわもの)です!!

 

又、食べる時に、音を発ててはいけないのですが、私の横でお漬物をバリ、バリと噛む音が聞こえました。勿論、大きくて、硬い漬物ですので仕方は無いのですが。私は、奥歯で歯(し)がみ、柔らかくなってから音がしないように噛み切り、飲み込みました。

 

本来、一口一口・・、一噛み一噛み・・、食べることに集中する。

この食べることに集中すると、今迄感じたことのない体験が出来ます。

口の中の動き、口の中の食べ物の動き、舌の動き、唾液の出方・・・。

 

そして、それを感じているときは、頭の中ではほかの事は浮かんできません!本当に集中していることが自分で分かりました。

 

                            

#5「懇親会」                

懇親会。

 

さあ!! 一杯飲めるぞ~!! と、思いきや!!

当然ながら、研修(修行)中ですのでお酒はご法度!!  

 

・・きびしいー・・・!!

 

宿泊施設の一階で、お菓子とお茶での懇親会が始まりました。

 

自己紹介を先ず行いました。色々なお仕事の方が居られ、又、老若男女・美男美女??。一人として同じジャンルの方は居られません。このように、色々な分野から、自分の意思や気持ちで参加される研修会は、意見や感想が自由闊達で大きい広がりを感じました。

 

今の職場や家庭での悩みや体験、そして今日一日体験した研修の感想から、意見・質問まで色々なお話が溢れました。又、研修時間の関係で出来なかった実習の補完や個別指導も、「わいわい、がやがや」楽しく時間が経ちました。

 

そこである人が、「お薬を持ってきました??」とのこと。 実は果実酒でした。ロゼワインのようにピンクの色彩。プラム酒です。小さな瓶ですので量はありません。好きな方が、ほんの一口ずつ飲まれました。しかし、飲まれた方は「美味しい、美味しい」と好評でした。

 

持ち込んだのは、当然“ 酒飲み!!”。 犯人は、この文章を書いている50代の男性参加者、私自身でした!! 研修に参加した中で一番の「悪?」かも。

 

御免なさい!!

 

この少しではありますが、お酒で場も和み、更にお話は盛り上がりました。

 

しかし、してはいけないお酒の持ち込み、大いに反省!!

 

「すいません!!」

 

                          

6「五右衛門風呂」

さあ! お風呂だあ~。  結構暑い日で、蒸していたので嬉しかった。

 

雲水の方が、「最初に入浴される方をご案内します。」とのこと。

「一番風呂に入るぞ!!」と、手を上げ案内して頂きました。大きく広い建物ですので、歩くわ! 歩くわ!! 

 

懇親会の部屋を出て、渡り廊下を歩き、書院の廊下をまたまた歩き、おやおや!! 

玄関を出ました。建物の中でなく、外にある建物がお風呂場になっていました。3分ほど歩きますので、外湯に行くような気分です。

 

ご、ご、五右衛門風呂!!・・

 

え、え~、今時、五右衛門風呂が残っているの??

 

何と、何と、あの有名な五右衛門風呂。石川五右衛門が釜茹でにされた風呂釜。

研修の中に、釜茹での刑があるのかなあ~。余り一生懸命勉強せず、少し居眠りもしたかも!! 果実酒を持ってきたので、茹でられるのか? 熱いのだろうな?「とほほ~!!」

 

説明によると、当然ながらシャワーは有りません。 又、「蛇口をひねったらお湯がタップリ出てくる」と思ったら、五右衛門風呂の横にもうひとつの釜があり、お湯が沸かしてありました。そのお湯は五右衛門風呂に足すためと、そのお湯をうるめて上がり湯とするためだそうです。

 

お風呂場は、大きいです。3人一緒に入りましたが、一度に10人入れる大きさです。

大きいお風呂は開放的でいいものです。洗い場も広くゆったりし、家庭では味わえない体験です。

 

お風呂からあがったら一度外へ出るのですが、これがまた心地よい風情です。

木々を渡る風! 空の星! 葉陰からこぼれる月の光! 自分の家とは違い、又、温泉や歓楽街とは異なる感動を、心に運んでくれました。

 

今日は、研修と言い、夕飯・お風呂・・今までに無い体験の中に、色々と新しい発見をしました。心の中では “ 幸せ ” を久しぶりに満喫していました。

 

 

7「開枕」

「開枕」 これは「かいちん」と言います。

 

「枕」を「開く」。確かに寝ることですね。布団を敷くのではなく、枕を出して開くのです。

 

横になって、頭を枕に乗せることが寝ることにつながるのです。修行をされている方、雲水さんは、布団を用意しても、その上で坐禅をして寝ないこともあるのです。横になって枕に頭を乗せるのが、寝ることになるのですね。

 

ただ実際お聞きすると、枕ではなく、布団、それも敷布団の端を折って枕とされるそうです。修行とは厳しいものですね。

 

我々研修参加者には、枕・敷布団・掛け布団・シーツを用意頂き、家庭と同じように

準備万端寝る用意が出来ました。さあ寝るぞと布団に入りましたが、横の部屋の女性陣の声が耳につき寝られません。

 

「うるさいなあ~!!」と、私の横の方に声を掛けました。「修学旅行ではないので、

早く寝たらいいのに!!」と、少しお小言のように言いました。

 

ところが、朝起きたら横の方から、「あんさん!! あの後、あんさんは直ぐ高いびきで、そのいびきで“ わてが寝られんかった!!” 」と怒られました??

 

一言、「記憶にございません。寝ることに、無我で、集中しておりました!!」

 

修行とは良いものですね。周りに影響されず、集中して直ぐ“ 寝り三昧 ”に入れる。

 

「今日一日の・・収穫!!」

 

 

8「朝課」

朝です!!

ええ~!! まだ真っ暗です。 「朝では無い!」ではないか・・・・・。

 

今は、朝四時です。夏に近い日とはいえ、まだ真っ暗です。しかし、明かり(電灯)は点けて頂いていますので助かりました。直ぐに寝床を上げて、トイレに行き顔を洗いました。

 

雲水さんが待っていてくれて、本堂に案内してくれました。本堂で朝のお勤め(朝課=

お経)が有るのです。

 

本堂は、少しの明かりしか有りません。ほのかな明かりの下、お寺のお師家様(指導者である和尚様)が来られました。そしてお勤め(お経)が始まりました。

 

鐘や木魚で、一心不乱にお経を読んでおられます。後でお聞きしましたら、意識を集中し、「お経三昧」になる。今することに集中する。その他の想念や雑念に今を乱されないようにする。これがお経三昧だそうです。

 

確かに、後で思い起こすと、お経を唱えておられる声を聞いているだけでも、私の心には他の事は浮かんでいませんでした。一生懸命お経を唱える。その中に自分を置く。そのことが「自動思考」に翻弄されない自分を取り返す“ 時 ”かもしれません。

 

前日の研修が、ここまで自己の認識を高めたのかなあと、少し思いました。

 

しかし、お経の間には、ふと眠くなる時がありました。日頃遊び廻り、夜更かしをしている僕ちゃんが、朝四時に起きる訳がありません。当然眠気に襲われ、眠気に負けるのも当たり前でしょう。

 

でも、日頃できない体験でした。何か少し自信が出てきました。

 

今迄、何かから逃げていたのですが、周りから強制されたところに自分を置き、その体験によって、新しい発見が有りました。

 

でも、本当に眠たいね!! 久しぶりに「熟睡したい」したいと本当に思いました。

 

                                    

9「作務」

朝のお勤めが終わりました。

今からお掃除です。長い長い廊下・・・!  広い広い部屋・・・! 掃除も大変だ!!

 

まだ、真っ暗ですが、先ほどお勤めとは違い、電灯が煌煌、全てが見えます。

 

研修生を4グループに分け、雲水さんに引率され各持ち場に分かれました。私は禅堂の掃除の担当です。禅堂は、他の所と異なり光が余り有りません。暗闇の中拭き掃除を始めました。雑巾を硬く絞って、板の間や立て板を拭きます。

 

雲水さんは、一生懸命、雑巾に気を押し込め拭くように指示されました。今迄その様な指示は受けたことはありません。単に、綺麗になるよう拭きなさい、とだけ言われてきました。

 

雑巾に気を押し込める。そして雑巾を動かす動作に、更に気を押し込める。

 

ふと気付きました。本当に気が込められていました。他の思いは浮かんでいませんでした。今までですと、早く掃除を終わりたい、水が冷たい、何故この様なことをしなければならないのか・・・・。

 

掃除では無く、他のことを頭に浮かべながら掃除をしていました。

 

次に本堂に移動しました。本当に広々としたところです。何畳あるのでしょう?? 

多分200名以上が坐れる広さです。此処を箒で掃くのです。畳の目に沿って掃いてくださいとのこと。畳一畳ずつ、順番に奥から掃き始めました。4~5名で掃除を担当しましたが、なかなかすすみません。

 

そうです、掃除も畳の目を意識し、ゆっくり、丁寧に腕を動かしました。掃きながらの移動も、足の運びに注意し、一歩一歩着実に進めました。

 

先ほどのお経の時とは違い、明るい状態でしたが、畳の目を追うことで明るさは余り気になりませんでした。大広間でしたが、終わってみるとあっという間でした。案外気持ちが集中していたので時間は早く終わりました。  

 

 

10「朝ご飯」

また嬉しい朝ごはんだ!!

 

朝のお勤め(お経)が済んで、朝ごはんの時が来ました。朝早くから起されたので、お腹がすきました。

 

ええ~!!  夕ご飯がご馳走だったので、朝ご飯もそれなりに出てくると思っていたのですが、やはり“ おかゆ ”と“ 漬物 ”だけでした。修行道場は、これしか出ないとは聞いてはいました。しかし、一般人の研修の時は、少し気を利かして白米ご飯が出ると期待していたのに!!  “ とほほ~ ”

 

しかし、北山先生の指導で、「食べることに専念しなさい」と指導を受けていました。

一口おかゆを口に入れ、目を瞑り、ゆっくり噛み始めました。

 

なんと!なんと! 今迄感じたことの無い口の中でした。おかゆではありますが、米の一粒一粒が感じられたのです。最初は何か分からなく、二口、三口と口に含んでいくと、

米粒が感じられてきました。

 

健康食品として家で食べてはいましたが、テレビを見たり、新聞を読みながら食べていました。言い換えると、そのまま飲み込んでいました。柔いものですので、今までは噛まずに(一~二回噛んで)飲み込んでいました。

 

米粒を意識するようになったら、嬉しくて、食べることが楽しくなりました。

 

その時です。あることに気付きました。そうです。お米の一粒一粒に意識が集中しているときは、他のことが心には浮かんでいませんでした。自動思考がシャットアウトされていたのです。「今の行為に専念する・・・・!」

 

前日の研修の意味が、やっと分かり始めました。

 

 

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